ただ意味もなく舌を這わせる
柔らかいくちびる
まるで女子のように細く繊細なゆび
白いはだ
その味はとても甘美で
自分を狂わせるには充分だ
侵食する狂気
「ま、さむね・・・っア・・・!」
名を紡がれただけでじん、とした甘い痺れがはしる。
ぐいと腕で引き寄せられた耳元で、もっと、とささやくその吐息。
耳を甘噛みされれば、抱いているのに抱かれている気分だ。
お返しにと言わんばかりに奪った唇はやはり甘くて。
甘い狂気に自分は犯されたのだと不意に思った。
侵食する狂気
その本性は愛か憎悪か