久方ぶりに見た友の顔はそれと判らぬほど変わり果てていた。
「死と愛」
友と共に願った夢は潰えた。
味方は敗戦、そして事実上の指揮官であった人は処刑された。
「大平を乱す大罪人、石田三成」
何が大平を乱す大罪人か。
誰が
どちらが
斬られた首と体は晒され、人々の格好の見せ物となった。
綺麗に整っていた顔は死の影が落ち、死化粧の施された顔はろう細工のようだった。
自分は、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
ここで彼をみた人は、石田三成という人がどんな人物であったか、どんなことを考えていたのかなんて、知らない。
ただ「大罪人」としての記憶を残すだけだ。
それが、どうしようもなく悔しかった。
そして、自分に腹がたった。
三成が死んでようやくわかった
私は
彼を愛していたのだ
ほかの誰とも違う。
たった一人のひとに対する感情を
何故今更になって気付いたのか
崩れ落ちて、泣くことしかできなかった。
もっとほかにあったはずだ
三成が死んだのは、自分のせいかもしれない
私は
なんと愚かな
ぐちゃぐちゃと混ざる感情が、涙となって溢れ出す。
痛い
痛い
痛い
あなたは私のすべてでした
そのことに気が付くのは、遅すぎたのだけれども
これから、どうすればいいのか
暗くて先なんて見えないんだ
泣き崩れる自分の腕を引き上げた人物も誰が判らない
あとはただ、流れに身を任せるだけ。
<「死と愛」>