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「愛してください、愛をください」/キス、キス、キス/僕の声/遊月夜/白無/どうか、朝まで覚めぬ夢を見て/
秋風/この 「 しあわせ 」/
目線の先にはいつもあの人。
わかっています。
ほら、また。
宙を泳いで、そして
この 「 しあわせ 」
「―で、だな、その・・・」
花見と称して諸大名やらその家臣が集まる最中、少しばかり外れて真田幸村と石田三成は二人で話していた。
声をかけたのは三成にも関わらず、なかなか用件を伝えられていない。
幸村も幸村で、未だに少し緊張しているのか
、しどろもどろになる三成に頻繁に相槌をうっている。
緊張、というよりは気恥ずかしいのだろう。
二人はつい先日、想いを添いとげたばかりだった。
「――・・・」
遂に三成が黙ってしまい、二人の間に沈黙が流れた。
幸村がじっと見つめる三成の瞳が、宙を泳いで幸村の肩越しにある人物を捉える。
(―左近・・・!)
それに気づいた左近は、意味ありげにくい、と顎を動かした。
言え、早く言ってしまえ、と促している。
三成殿、と幸村が声をかけようとした瞬間、幸村の袖口を、三成の手が掴む。
「今宵!」
きゅ、と手に力が篭る。
「お・・・俺の部屋に、来てくれ。落ち着いたらでいい。待っている・・・だから、」
来てくれ、と小さく呟いた。
言うや否や、恥ずかしそうにうつ向く。
「・・・わかりました。かならず、伺いますね」
多少驚きつつも、幸村は笑顔で答えた。
「・・・うむ。」
言うのでいっぱいいっぱいだったのか、三成はすぐに踵を返して早歩きで立ち去った。
決して、こちらを見ないあの人。
自分よりも遥かに、違う人物が目の先にいることのほうが多い。
―わかっていますよ
私はずっと、あなたを見てきたんですから・・・
寂しさにも似た感情を抱きつつ、幸村もその場をあとにした。
夜も更け、宴もお開きとなり静けさが空を支配したころ。
三成は自室でひとり心を落ち着かせようと必死になっていた。
何をはなせばいい?何をしたらいい?
呼んだはいいが、こんな風に幸村と二人きりで話すのは初めてのことだった。
なんとかしろ、左近。
そんな風に泣き付いた相手は相手で、上目使いで誘えだの、要らない知識ばかりをおしつけてくる。
―そんなことできるはずがないだろうッ!!
考えただけでも顔から火がでそうだ。
「三成殿・・・?」
ばん、と机を叩くと同時に幸村の声が障子越しにした。
「―入りますよ・・・?」
「あ、ああ・・・」
返事をするとす、と静かに障子が開き、真紅の小袖を着た幸村が酒とおぼしき瓶と、猪口を持って入ってきた。
「適当に座ってくれ。・・・それは、酒か?」
かちゃ、と置いた弾みで音をたてた瓶を指し、三成が尋ねる。
「ええ。さっき島殿に渡されたんです。」
「・・・左近が」
「どんな相手でも酒が入れば自然と話も弾むってもんです。」
それが左近の持論のようなものだった。
だからこそ三成は酒というものが苦手なのだが。
「・・・島殿は三成殿の事をよく理解していらっしゃいますね」
三成の猪口に幸村が酒を注ぎながら言う。
「・・・あいつは何か変な事は言ってなかっただろうな」
今度は三成が、幸村に酌をしながら言う。
「ごゆっくり、とだけ」
そうか、と返事をすると酒を含んだ。
やはり会話が続かない。
幸村は気まずくないだろうか、と視線を上げると、不意に目があった。
「・・・」
視線を外すのも気まずい気がして、お互いに見つめあう。
なんだか恥ずかしくて何か言って欲しいのに、幸村は穏やかに微笑むだけだ。
―本当は、もっともっと踏み込んできて、犯してほしいのに。
いや
踏み込んできて欲しいのではなく、踏み込みたいのかもしれない。
「・・・やっと、目を合わせてくれましたね」
幸村が、幸せそうに笑った。
ただ、それだけの事で
不意に触れたいと思った。
その笑顔に
「恋愛なんてのは勢いですよ。感情のままに動けばいいんです。」
そんな言葉が脳裏にうかぶ。
ただ、感情の赴くままに。
酒のせいにして、一歩を踏み出した。
―酒と、左近のせいにして。
間近で見た顔はとても綺麗で。
自分がされた事は突然すぎてすぐには理解出来なくて。
ただ、肩に置かれた手が小さく震えるのが、とても可愛く思えた。
唇が離れると、ぺた、と三成が力なく腕の中に落ちてきた。
その姿がやたら小さく見えて、包み込むように幸村が抱きしめる。
ああ、幸せってこういうことなのか、と心の中で呟いた。
「お、俺は・・・こういう関係に慣れていないから、幸村を不安にさせるかもしれぬ」
「でも、せ、精一杯努力・・・する、から」
言っている途中で、幸村の指が三成の頬に触れる。
少しだけ顔が離れる。
幸村はうつ向いているため、三成から表情は見えなかった。
「―あまり、嬉し過ぎる事を言わないでください・・・こちらも慣れていませんから・・・」
耳まで赤く染めて、幸村が言う。
その様子に緊張をほぐした三成は額に軽く口付ける。
そうしてまた、唇が触れ合って。
ほんの少しの妬きもちは、愛情へ。
どうか、この幸せが続きますよう―。
無駄に長くてすみません・・・・(吐血)
そしてめっちゃ遅くて本当に申し訳ありません;;;
イヤホント、リハビリ中に書いたのは間違えの気も(ゲフ)
そしてなんか三幸なんだか幸三なんだかわからなくなってスミマセン
ホントに謝る事だらけだ・・・orz
久々に甘甘書けて楽しかったです(笑)
有難うございました!!