「愛してください、愛をください」/キス、キス、キス/僕の声/遊月夜/白無/どうか、朝まで覚めぬ夢を見て/
秋風/この 「 しあわせ 」/

 僕の声

己の状態に孫市は目を見張った。

普段とは逆に、相手が自分にかぶさるように腕を壁についているからだ。

時間をかけて己を眺めていた隻眼が、ゆっくりと閉じられて鼻先に唇が当たる。

意外にもしっかりとした手先が顎に触れ、目線だけで相手を見上げる。



「・・・ま」



「喋るな」



疑問も不満も、一切を受け付けない、という口調で政宗が命令するように、言う。

しょうがないので今度は手を腰に回そうとすると、動くなとキツク言われる。

「大人しくしていろ」

そう言われ、それを聞き入れ唇を閉じると、ぺろりと舌で舐められる。

帯をほどいた手がもどかしく、緩い愛撫を肌に送り、背中に甘い痺れが走った。

「・・・っ、政宗」

声を漏らすまいとし、代わりに耳元で名を紡げば相手は眉間に皺を寄せた。

「・・・っ喋るな、と申したはずだ」

その反応に孫市はもう一度、今度は甘さを含めて吐息に混ぜる。

「政宗・・・」

びくり、と体全体が揺れる。

腰を抱き寄せ舌を噛んで、ねっとりと舌を這わせると、詰めた息がは、と出された。

形勢は完全に逆転している。

「抱くのは俺だぜ・・・?」

低く、甘く囁けば、体は自然と開かれた。

ふ、と笑みを漏らしてみると、政宗がうらめしそうに睨んできた。


そんな抵抗を無視してまた、囁いて。


同時に揺れる、君を楽しむ。














媚薬よりも何よりも、君を惑わす






僕の声










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